積立NISAはいつ売却すべき?基準価額が高い今、初心者が迷わない利益確定の考え方【2025年最新版】

積立NISAの売却タイミングを解説する記事用アイキャッチ。フクロモモンガがコインを持つイラストで初心者向けにやさしく表現。 資産運用の基本

このところ相場が好調で、投資信託の基準価額が高い水準になっています。「今のうちに現金化しておいた方がいい?」と迷う人が増える局面です。この記事は必要額だけ/分割で/積立は止めないという現実的なやり方を、新NISAの最新ルール(非課税は無期限・売却分は翌年以降に簿価ベースで枠が戻る)を前提に、判断テンプレとしてまとめました(根拠:金融庁NISA特設サイト)。
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評価額が増えるとつい現金化したくなるワケ

評価額が増えると「今なら利益を現金で受け取れる」という実感が強まり、売りたい気持ちが自然と高まります。
一方で、あとから上がるかもしれないという期待も残り、判断がブレやすくなります。

このタイミングで迷いを減らすコツは、感情ではなくルールで決めること。
使い道と期限がはっきりした必要額だけ回数を分けて売り、積立は止めない。この3点を先に決めておけば、短期の値動きに振り回されにくくなります。

気持ちはよくわかる。増えた今こそ利益を確定したくなるよね

でも全部売ったら、また上がったときに取り逃しそうで怖い…


結論:売るなら「必要額だけ」「分割で」「積立は止めない」

もし売却を考えるなら、すべてを手放すのではなく、まずは本当に必要な金額だけに絞ることが大切です。
その金額を一度にまとめて売るのではなく、数回に分けて取り崩すことで、短期的な値動きに左右されにくくなります。
そして、積立投資自体は止めずに継続することで、将来の資産形成のリズムを崩さずにすみます。

このやり方なら、増えた利益を一部は現金として手元に残しつつ、長期的な資産づくりの流れも守ることができます。


おさらい!新NISAのルール


売却判断3チェック

売る前に、まずは「何に、いつ使うのか」を言葉にしてみましょう。
旅行や教育費のように使い道と期限がはっきりしていれば、その金額は“売って用意する対象”になりやすいです。逆に「特に予定はないけど不安だから」という場合は、いったん保留が無難です。

次に、「手元のお金や別口座でまかなえないか」を落ち着いて確認します。
生活防衛資金は残せているか、ボーナスや臨時収入の見込みはないか。ここで代替案が見つかれば、今すぐ売る必要は薄れます。もし足りないなら、その不足分だけを売却対象にします。

最後に、「売っても積立は続けられるか」を自分に聞いてみてください。
積立を止めてしまうと、せっかく整えた“増やすリズム”が途切れてしまいます。金額を少し調整してでも続けられるなら、将来の増え方を守りながら今の不安も和らげられます。

  • 用途と期限が日付で明確
  • 手元資金や別口座だけで賄えない
  • 売ったあとも積立を続けられる

Yesが2つ以上 → 必要額だけを分割売却
Yesが1つ以下売らない/代替資金を先に検討(ボーナス・他口座など)
資産運用を始める前にやるべき家計管理のコツ|初心者が安心して投資に踏み出すために


分割売却のやり方

いくら売ればいいのかを決める目安

売却を考えるときに大事なのは「全部売るかどうか」ではなく、「いくらなら安心できるか」を決めることです。
まず、これから必要になる支出を思い浮かべます。教育費や旅行資金、引っ越し費用などです。

そこから生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)をきちんと残し、さらに別口座の預貯金も考慮したうえで、足りない分だけを売却の対象にします。

たとえば、3か月後に120万円必要で、手元に70万円あるなら、不足する50万円が売却額の目安になります。
このように「必要額 − 手元資金」で考えると、冷静に判断しやすくなります。

回数とタイミングの決め方

売る回数とタイミングは、「いつまでに、いくら必要か」から逆算して決めると迷いが減ります。
支払期限をカレンダーに書いて、そこから30〜90日前に向けて、数回に分けて取り崩すのが目安です。

まずは回数。忙しさや性格に合わせて選びます。

  • 3回プラン(シンプル):4週間おきに3回。例)必要額60万円 → 20万円×3回
  • 6回プラン(より慎重):2週間おきに6回。例)必要額60万円 → 10万円×6回

タイミングは、支払期限をゴールにして、そこから手前に均等配置します。
たとえば、3か月後(約90日後)に120万円が必要なら、

  • 3回プラン:40万円×3回(90日前・60日前・30日前の目安)
  • 6回プラン:20万円×6回(90日前から2週間ごと)
    という具合に、無理のない間隔で並べます。

実務上のコツも押さえておきましょう。

  • 約定日と入金日:投信は「注文日=入金日」ではありません。金融機関ごとに約定日→受渡日のラグがあるので、数日の余裕を持ってスケジュールを組みます。
  • 曜日のクセ:連休・週末をまたぐと受渡がずれることがあります。平日→平日で完結する並びにすると安心です。
  • 積立日は触らない:毎月の積立はそのまま継続。売却日と被っても問題はありませんが、気になる場合は売却の方を前後にずらすだけでOK。
  • 心のゆとり枠:相場が急に下がって不安なときは、1回だけ見送る判断をしても大丈夫。その分は翌スケジュールで微調整します。

なぜ売却を分けるのか?

1. 短期の値動きリスクを減らすため

投資信託の基準価額は毎日変動します。
一度にまとめて売ると「売った翌日にもっと上がった」「逆に一番高い日に売れなかった」など、運に左右されやすくなります。
分けて売れば、平均的な価格で売却できる=損をする可能性を減らせるのです。
これは積立で買うときの「ドルコスト平均法」と同じ考え方です。

2. 心理的な安心感を持つため

一度に全額を売ると「やっぱり早まったかも」「売らなければもっと増えていたかも」と後悔しやすいです。
数回に分けて売れば、「少なくとも一部は良いタイミングで売れた」と思えるので、精神的なブレを抑えやすいです。

3. 必要額を柔軟に調整できるため

ライフイベントなどで資金が必要なときも、「思ったより出費が少なかった」「他の収入が入った」などの変化があります。
分けて売れば、途中で売却額を調整できる余地が残ります。

一気に売ると「運」と「気持ち」に左右されやすいんだ

分けて売れば、平均的な値で売れるし、気持ちも落ち着くんだね

積立は止めない

売却が必要になっても、毎月の積立そのものは続けるのが基本です。
積立を止めてしまうと、せっかく作ってきた“増やすリズム”が途切れ、再開のきっかけも失いやすくなります。相場は上がったり下がったりを繰り返すので、積立を続けておけば、高い日も安い日も平均化しながらコツコツ買い進めていけます。

もし家計が一時的にきついなら、金額を小さくして続けるだけでも十分効果があります。
たとえば月3万円を一時的に月1万円へ。余裕が戻ったらまた増やせばOK。重要なのは「ゼロにしない」ことです。

売却と積立は両立できます。
売却で必要な現金を確保しつつ、積立で将来のタネをまき続ける――この二本立てなら、今の安心将来の育ちを同時にねらえます。

(制度の根拠:金融庁スライド資料


実際に基準価額が高いときに一部を売却してみた話

2024年末から2025年にかけて、相場が好調で私の積立NISA口座の評価額も大きく伸びました。
特に米国株インデックス投信の基準価額が上昇し、含み益が30万円以上プラスに。
正直、「今すぐ全部売れば利益を確定できる」と何度も思いました。

ただ、非課税のメリットを考えると全部売るのはもったいない気もして、最終的に必要な10万円だけを2回に分けて売却しました。
結果的に手元資金の安心感が増し、残りの投資分はそのまま運用を続けることができました。
翌年には売却分の簿価が生涯枠に戻り、積立もスムーズに再開できました。


よくある誤解と落とし穴

「増えた今のうちに全部売れば安心」という考えは、短期的な気持ちを落ち着かせてくれますが、その後にまた相場が上がったとき“置いていかれた感”が強くなりやすいです。大切なのは、安心を得るためにどれだけ現金にするかを決めることであって、すべてを手放すことではありません。

もう一つの落とし穴は、「予定のない利確」です。使い道や期限がはっきりしていないのに、とりあえず利益を確定すると、その瞬間は気持ちが軽くなりますが、のちほど「必要資金に回せばよかった」「積立を伸ばせたかも」と迷いが残りがち。目的と期限を先に言葉にしてから動くと、後悔が減ります。

最後は、売却をきっかけに積立まで止めてしまうパターン。これが一番もったいない。金額は小さくしても構いません。ゼロにせず続けておけば、高い日も安い日も平均して買い進められます。

ぜんぶ売る勇気より、必要額だけ売る落ち着き

目的と期限を先に決めれば、ブレずに動けそう


「今すぐ売るべき?」を数式でざっくり判断

迷ったら、感情ではなく簡単な計算で整えてみましょう。

まずは売る総額の目安。
売却目安=必要な支出 − 手元の現金・別口座の預貯金 − 生活防衛資金
例)3か月後に120万円必要、手元に70万円、生活防衛資金は別で確保 → 120−70=50万円が「売って用意する候補」です。

つぎに回数。
1回あたりの金額=売却目安 ÷ 回数
例)50万円を3回なら約16.7万円、6回なら約8.4万円。支払期限から30〜90日前に向けて等間隔で並べると、短期の値動きに左右されにくくなります。

最後に、積立は続けられる金額に微調整。月3万円がきつければ、いったん2万円や1万円に。ただしゼロにはしない、が合言葉です。


制度に関する補足

新NISAでは、非課税で保有できる期間は無期限です。売却しても、その年の年間投資枠は増えませんが、翌年以降に売却した分(取得額ベース)が生涯の非課税枠として使えるように戻ります
つまり、「今どうしても必要な分だけ現金化」「来年以降に計画へ戻す」という動きが取りやすい制度設計になっています。制度の細かいルールは公式の最新情報で確認しつつ(例:金融庁のNISA特設サイト)、記事では**“必要額だけ・分割・積立継続”**の型を守ることを第一にしましょう。

(根拠:金融庁NISA特設サイト


まとめ:基準価額が高い今、ちょうどいい利確は「必要額だけを分割」で

評価額が増えると、利益を形にしたくなるのは自然な反応です。ただ、将来の増え方まで止めないためには、必要額だけを、回数を分けて、積立は続ける——この3点セットがいちばん現実的。

使い道と期限を言葉にする → 売る総額を計算する → 回数と日程を決める → 積立は細くても続ける。
この順番で組み立てれば、今の安心将来の育ちを同時にねらえます。

ちょうどいい利確」は、必要額だけ・分割・積立は継続

うん、やることがシンプルだから、続けられそう


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投資ディスクレーマー

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の取得・売買を勧誘するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断にて行い、必要に応じて専門家へご相談ください。相場状況や制度は変更される可能性があり、掲載内容の正確性・完全性を保証するものではありません。

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