NISAを家族に相談されたらどう答える?投資を伝える難しさ

NISAってどうしたらいい?って聞かれたら NISA

はじめに

家族から投資相談を受けるシーンは誰にでも起こりうる

先日、姉から「NISAってどうしたらいいの?」と相談を受けたのですが、そのときに「自分にとっては常識の範囲にある知識が、家族にとっては未知の領域だった。」と気づかされました。
投資に少しでも関心を持ち始めると、家族や友人から相談される場面は誰にでも起こりえます。とくにNISAはテレビや新聞でも取り上げられる機会が増え、関心を持つ人が確実に増えてきました。

ただ、いざ相談されると「どう答えたらいいのか」と迷うものです。具体的な銘柄を言ってしまえば責任が伴うし、逆に抽象的な話だと「結局どうすればいいの?」と物足りなく感じられることもあります。
このギャップこそが、投資を人に伝えるときの難しさです。

実際、金融庁の調査でも「投資を始めたいが情報が多すぎて判断できない」という声が多く報告されています(金融庁PDF:「若年層を中心とした個人による投資の現状とNISAの利用」)。
つまり「投資に関心はあるが、何から始めればいいかわからない」という人が非常に多いのです。

投資に関心はあるが不安も大きい人が多い現実

投資という言葉には「お金を増やせるかもしれない」という期待と同時に、「損をするかもしれない」という不安が常につきまといます。特に家族や親しい人に相談するときは、「恥をかきたくない」「危ないことをしたくない」という気持ちが強くなるものです。

私自身も投資を始めたばかりの頃、周囲の人に話すのはとても勇気が必要でした。「もし損をしたらどう思われるだろう」と不安になったのを覚えています。
そのため、相談してくる家族は単に知識を求めているだけではなく、安心感や背中を押してくれる言葉を期待しているのかもしれません。

NISAが身近になった今こそ、こうした「投資を伝える難しさ」に向き合うことが大切だと感じています。

古希祝いの席で姉からNISAの話題が出た流れ

先月、母の古希祝いで家族そろって食事をしました。普段は近況報告や健康の話題が中心なのですが、その席で姉が突然「NISAってどうしてる?」と切り出したのです。まさか家族の食事会で投資の話になるとは思っていなかったので、正直少し驚きました。

食事会というリラックスした雰囲気のなかで出た会話だからこそ、姉も気軽に質問できたのかもしれません。私自身も思わず「どんな運用をしているの?」と聞き返し、姉の投資経験を知ることになったのです。

こうして「家族と投資について語る時間」が自然に生まれたことは、とても貴重な体験でした。普段は金融の話をしない家族だからこそ、印象に残っています。

母の一言で感じた「知識のギャップ」

姉がNISAについて話し始めると、母も会話に加わりました。そのとき母が「あなた、よく勉強してるんだね」と感心したように言ったのです。私は普段から投資のニュースや金融庁の資料を読むのが当たり前になっていたので、「特別な勉強」という感覚はありませんでした。

でも母の一言で、「投資の知識は身近な家族にとっても未知の世界なんだ」と実感しました。私が当然と思っている「非課税枠」や「インデックス投資」といった言葉も、家族には聞き慣れない専門用語にすぎないのです。

その瞬間、投資を誰かに伝えるときは「どれだけ相手の立場に寄り添えるか」が大切だと気づきました。相手がわからない言葉を並べても、結局は不安を増やしてしまうだけだからです。

姉のNISA体験と具体的な相談内容

旧NISAでS&P500が2倍になった投資体験

姉は旧NISAの一般枠を利用し、数年前に米国株指数「S&P500」に連動する投資信託を一括購入していました。購入時は「本当に増えるの?」と半信半疑だったそうですが、結果的にその投資額はおよそ2倍に膨らんでいました。
気づいたら増えていた」という体験は大きな自信につながる一方で、「ここからどうするか」という新たな迷いも生みます。

このとき姉が特に驚いていたのは「非課税の期限がある」という点でした。利益が出ていても、制度上は一定期間を過ぎれば課税対象になる可能性がある。これは投資に慣れている人なら当然の知識ですが、初めて投資に触れた人にとっては盲点です。

つまり、投資の成功体験そのものよりも、その後の判断基準や制度理解の不足こそが課題となっていました。このギャップがあるからこそ、「増えたけど、どうしたらいいの?」という率直な相談につながったのです。

非課税期限や売却判断をめぐる相談

姉から「この旧NISA、どうしたらいいの?」と尋ねられたとき、私は一瞬返答に迷いました。額にして数百万円規模で、しかも含み益は約2倍。大きな利益が出ている以上、下手な助言はできないと直感したのです。

結局その場では「非課税の期限が迫っているから、いったん売却して現金化するのも一つの選択肢だよ」とだけ伝えました。
売却や非課税枠の扱いが不安なら、最新ルールをまとめたこちらも参考になります → 積立NISAを途中でやめたらどうなる?売却・解約・非課税枠の最新ルール【2025年版】

すると姉は翌日すぐに証券口座から売却手続きを済ませ、「やっと安心できた」と笑っていました。
ただその後、「余った資金をまた投資したいけど、次は何を買えばいいの?」と改めて相談されたのです。

この体験を通じて強く感じたのは、「利益が出ること」と「正しい判断ができること」は別物だという点です。投資は始めた瞬間だけでなく、その後の継続的な判断が大切。姉のケースは、まさにその難しさを象徴する出来事でした。

投資を人にすすめることの難しさ

「おすすめ銘柄」と言えない理由

姉から「次は何を買えばいい?」と聞かれたとき、私は一番答えに困りました。なぜなら、投資に「絶対に安全で確実に増える銘柄」は存在しないからです。短期的には株価が大きく下がることもあるし、世界情勢や金利の変化で値動きが予想外になることもあります。

もし私が具体的な銘柄を勧めて、その後に損失が出たらどうなるでしょうか。おそらく姉は「あなたの言葉を信じたのに」と感じるはずです。家族や大切な人だからこそ、安易におすすめはできないのです。

また、日本証券業協会も「投資は自己責任で行うべき」と明確に伝えています(日本証券業協会「自己責任の原則」)。これは冷たく聞こえるかもしれませんが、実際には投資家を守るための大切な原則です。だからこそ、私は姉にも「自分で選んで決めることの重要性」を繰り返し伝えるようにしました。

結局、できるのは「基本的な考え方」や「制度の仕組み」をわかりやすく共有すること。銘柄そのものを勧めるのではなく、選ぶときの視点を一緒に考える方が、結果的に長く役立つと感じています。

具体的な銘柄名よりも、“どう選ぶか”の判断軸が役に立ちます → 投資信託の選び方|初心者が失敗しない3つのポイント【2025年版】

自分が人の推奨銘柄で失敗した経験

実は私自身も過去に「人のおすすめ」に従って失敗した経験があります。

まだ投資を始めたばかりの頃、有名な優待生活の投資家が紹介していた銘柄を、ほとんど調べもせずに購入したのです。株価は当初こそ安定していましたが、購入から数か月で急落。10万円以上の損失を抱え、売るに売れず数年保有した苦い記憶があります。

そのとき感じたのは「自分で納得して選んだ投資でなければ、下がったときに耐えられない」ということでした。他人の推奨だけを頼りにすると、下落時の責任を自分で負えず、不安や後悔ばかりが残ります。

だからこそ、姉に対しても「おすすめ銘柄」という答えはあえて避けました。代わりに「どんな目的で投資するのか」「余剰資金の範囲でできるか」を考えることを重視するように伝えました。過去の失敗が、いまの私の態度をつくっているのだと思います。

投資を伝えるときに大切にしたいこと

余剰資金と自己責任を前提にする重要性

投資を考えるうえで最も大切なのは「余剰資金」と「自己責任」という2つの前提です。生活費や近い将来に必要なお金を投資に回してしまうと、予想外の値下がりに耐えられず、途中で解約してしまうリスクが高まります。
金融庁も「長期・積立・分散」を推奨していますが、その根底には「無理のない範囲で続けること」があるのです(金融庁:NISA特設ページ)。

姉の場合も、「せっかく2倍になった資金を次にどう使うか」が焦点でした。私はまず「また一括投資する必要はない」と伝え、「必要な生活資金と分けて、時間を分散させて投資した方が安心だよ」と話しました。

投資の前段として家計を整えるコツは、こちらに簡潔にまとめています → 資産運用を始める前にやるべき家計管理のコツ|初心者が安心して投資に踏み出すために

投資は増やす手段であって、生活を不安定にするものであってはならないからです。

自分の責任で選び、納得できる範囲で投資する。これは初心者にも必ず伝えるべき大前提だと強く感じています。

初心者に伝える際に避けたい言葉や態度

家族や友人から投資相談を受けたとき、専門用語を多用したり、「それぐらい知ってて当然」といった態度を取るのは逆効果です。相手は知識を求めているだけでなく、「安心して始められる気持ち」を探しているのです。

例えば「損するかもしれないよ」という表現は必要ですが、それだけだと恐怖をあおるだけになります。私は姉に「値動きはあるけど、少しずつ積立てればリスクは抑えられるよ」と、可能性とリスクの両面を伝えるようにしました。

またSNSやネットの情報をそのまま鵜呑みにしないことも強調しました。誰が発信しているのか不明な情報には、信頼性に差があるからです。ここで役立つのが金融庁や証券会社の公式情報です。信頼できる一次情報をベースに話すだけで、説得力も安心感も格段に増します。

投資を伝えるときに大事なのは「相手にとっての安心感を育てる」こと。知識よりも態度や言葉選びこそが、信頼を生むと実感しています。

よくある質問(FAQ)

「どの銘柄を買えばいい?」と聞かれたらどう答える?

家族や友人から投資相談を受けると、必ずといっていいほど聞かれるのが「で、結局どの銘柄を買えばいいの?」という質問です。ですが、この問いに直接的に答えるのはとても難しいのが現実です。なぜなら、投資にはリスクが伴い、誰にとっても「絶対に安全で儲かる銘柄」は存在しないからです。

そこで私が姉に伝えたのは、「銘柄」ではなく「考え方」でした。具体的には、

  • 自分の目的(老後資金なのか、数年後に使うお金なのか)
  • 投資に回せる金額(余剰資金の範囲かどうか)
  • 分散や積立といったリスク軽減の仕組み

こうした基準を共有することで、相手が自分の判断軸を持てるようになります。家族に安心を与えるのは「おすすめ銘柄」ではなく、「どう考えて選べばいいか」という道筋なのです。

投資を始めたい人にまず伝えるべき基本ルールは?

初心者に最初に伝えたいのは、ルールそのものよりも「心構え」です。特に以下の3つは強調しています。

  1. 余剰資金で行うこと
     生活費や近い将来必要なお金は絶対に投資に回さないこと。
  2. 長期・積立・分散を基本とすること
     短期の値動きに一喜一憂せず、時間を味方につける考え方を持つこと。
  3. 自己責任で判断すること
     誰かの意見を参考にするのは自由ですが、最終的に選ぶのは自分。これが安心感と継続につながります。

姉との会話でも、「一括よりも少額から積立てる方が安心できるし、自分のペースで続けられるよ」と伝えたところ、とても納得していました。初心者にとっては専門知識よりも「これなら自分でもできそう」という気持ちが大切なのだと思います。

まとめ

投資の伝え方で大切なのは安心感と自己判断

姉から旧NISAの相談を受けたとき、改めて実感したのは「投資は数字や制度の知識だけではなく、どう伝えるかが大切」ということです。たとえ非課税枠や投資先を知っていても、それをどう説明するかで相手の受け取り方は大きく変わります。

「安心感」を与えるためには、専門用語を避け、リスクもチャンスもバランスよく伝えること。そして「自己判断」を促すためには、具体的な銘柄を押しつけるのではなく、考え方の道筋を一緒に整理することが重要です。こうした伝え方ができれば、相手が投資を「怖いもの」ではなく「工夫できる選択肢」として捉えられるようになります。

「自分ならどう伝えるか」を常に考える姿勢

投資を人に説明するときは、制度や商品の知識をアップデートするだけでなく、「もし自分が初心者だったらどう感じるか」という視点を忘れないことが大切です。
ネットやSNSでは日々いろいろな投資情報が飛び交いますが、そこには「誰が言っているのか分からない推奨銘柄」も多く含まれています。そうした情報を鵜呑みにするリスクを伝えるのも、家族にとっての安心材料になるでしょう。

私自身、今回の記事を書きながら「自分が学んできたことを人に伝える責任」を改めて考え直しました。家族に投資を伝えるときは、安心して自己判断できるようにサポートすることが一番大切なのだと再認識しています。

最後に問いかけたいのは――「あなたは大切な人に、自信を持って銘柄を勧められますか?」。この問いを意識するだけで、投資の伝え方がきっと変わるはずです。

投資に関する免責事項

本記事は投資助言ではなく一般的な情報提供であること

本記事で紹介した内容は、筆者自身の経験や公的機関が公表している情報をもとに整理したものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。あくまで「投資を家族にどう伝えるか」という視点で一般的な情報をまとめたにすぎません。
実際の投資判断は、個々の資産状況や目的によって大きく変わります。そのため「この記事を読んだからこの商品を買おう」といった行動は控え、必ずご自身の判断で検討していただくことをお願いいたします。

投資判断は必ずご自身の責任で行っていただきたいこと

投資には元本割れのリスクがあります。株式や投資信託は市場環境や金利動向によって価格が変動し、必ずしも利益が得られるわけではありません。
そのため、投資を行う際には「余剰資金で行う」「長期的な視点で取り組む」「分散投資を意識する」といった基本を押さえつつ、最終的な判断は必ずご自身で行ってください。

万一、この記事を参考にして投資した結果に損失が生じても、筆者は一切の責任を負うことはできません。

投資は正しく理解すれば人生を豊かにする選択肢のひとつですが、同時に自己責任の世界でもあります。そのことを忘れずに、一歩一歩、自分に合った形で進めていただければと思います。

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